今日は小説風で。

いや、何があった訳じゃないけど(笑)

携帯ショップへ最近就職をした友人から、終業間際にメールが入る。

「新しいケータイのモックが入ったよ」

それは、私がカタログで一目ぼれした携帯電話。

早速帰りに寄る事にする。

あ、ついでに新車も見せようかな。

その携帯は思ったとおりの形や大きさ、色をしていた。

やはり緑色が私の好みだ。

「今割引キャンペーン中だよ、買う?」

友人はすっかりお店の店員。私は新規購入を悩む客。

「やっぱり緑かなあ」

本当はこんな事を言いに寄ったわけではなかったのだが。

彼女の終業時間まではあと30分もあった。

私は家路へと急いだ。

いつもの道、いつもの信号。

タイミングは覚えてしまった、赤から青への瞬間。

慣れないウインカーを点け、アクセルをふかしながら右へ曲がる。

国道45号線と107号線の合流地点は、大船渡で1,2を争う混雑交差点だ。

逆に言えばここぐらいしか混雑する交差点はない。

私が知らないだけかも知れないが。

コンビニの隣の本屋へ向かう。

ほっぺがにきびでいっぱいの男子学生が、新刊コーナーへ吸い寄せられている。

大股を広げてゲーム雑誌を広げて読む男子高校生の袖をひっぱる女子高校生。

電車男の本が平積みに置かれ、その後ろには鉄道の本が置かれている。

ちょっと店の人のセンスを疑う。もちろん冬のソナタ関係の本も、義経関連の本も、平積みで島端へ置かれている。

ローレライに後ろ髪をひかれつつ、コンビニへ向かった。

しょうがない、今日も小さな酒を買って帰ろう。

どうせ350mlのビールすら残してしまうのだから。

つまみを物色していると、障害者の様に大きな声で「いらっしゃいませー」を繰り返す店員が目障りだ。いや、それは障害者に失礼か。

酒とつまみを買って400円。飲みに行くよりリーズナブル。

車のロックを解除し乗り込もうとすると、豆のような緑の車が駐車場で四苦八苦している。どうやら何度も切り返すうちに、車止めをまたいで止めてしまったのに気づかず、どんどん前にすすむので中でパニクっているようだ。見ると立派な初心者マーク。輝く豆色の車。ぜひともその横のポストには突っ込まないでいただきたい。

小回りの効く車はベンリだ。

すばやく国道へ乗り、信号が切り替わる頃に交差点に到着する。

右折するとがらりと街の雰囲気が変わる。というよりこれは村だ。

市を装った農村だ。

後ろから来た車ががなり立てる田舎だ。

センターラインがない市道だ。

舗装もない砂利道だ。

橋を渡ると、1台の車が待機している。

何だよまぶしいな、こちとら軽なんだからとっとと橋渡ればいいのに。

私は左折する。

ああ、そういえば、対向車の車がはっきり見えた。

私のライトは買ったばかりの新しいライト、しかも遠くが良く見える高いライト。

まぶしかったのは、向こうだったのだ。

そして今日も、水たまりに突っ込みながら、未だ溶けない先週降った雪を踏みしめつつ家路に着いたのだった。

……あ、テレビタックル見なきゃ(笑)